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簡潔な美を指標した3針モデルとクロノグラフ

余りに濃密な仕上がりを見、資料に目を通していると、超高級時計の粘着性に息が詰まりそうになってくるので、このあたりで箸休めを取ろう。昨年の「オデッサ」に続く愛すべき佳品が「オデッサ クロノグラフ」である。直径40㎜のけれん味のないデイト表示付き自動巻きクロノグラフ。インダイアルのデザインを変え(12時位置の30分積算計とインデックスの増し加わりは最高だ!)、スリーローの頑強なブレスレットをまとわせたその作風は端正そのものである。個人的には、少し散財をしてでもステンレススティールと18K SAKURA GOLD(同社独自の配合によるオリジナルのゴールド素材)のコンビモデルを手に入れたい。ステップ付きのベゼルには、無論のこと18K SAKURA GOLDが好適だから。


 パールからの静かな脱却がTASAKIの命題であることは論を俟たない。自社のアイデンティティである海からの贈り物に心血を注ぎつつなお、新しい素材やデザイン、ディレクションの大いなる可能性を企図した帰結が、浅岡肇氏やタクーン・パニクガルの登用なのだから。だからこそ「オデッサ」シリーズや、先頃発表された新しいジュエリーのコレクション(花火を主題にした素晴らしい連作の数々……)から、とても心地よい律動が聴こえてくるのではないか。