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IWC/インヂュニア・オートマティック “AMG ブラックシリーズ・セラミック”

ある晴天の夏の日、クールなIWCのインヂュニアを身に着け、最高スピード320㎞/hのカブリオレに乗る。アッファルターバッハのAMGから最新作の試乗を許された我々に課せられたミッションは、2750万円もするSLS AMG GT ロードスターを無傷で返却することである。何はさておき、午前中はこのスーパースポーツカーとともに時計の撮影をして過ごす。ディテールを存分に観察する時間である。


温かい色調を持つインヂュニアのメタリック・ブラウンの文字盤は、マットブラックのセラミックス製ケースと、黒く輝くセラミックス製ベゼルとのコントラストが極めて美しい。艶の美しいベゼルをケースに固定する5本のビスは、ネジ頭が特殊な形状に成形加工されており、時計により一層、テクニカルな印象を与えるのに貢献している。今回試乗したSLS AMG GTは、インテリアだけでなく、フロントグリルフィンやフェンダーフィン、ボンネットフィン、また、ドアミラーにも、ピアノのような輝きを持つグロッシー仕上げが施されていることから、新型インヂュニアの光沢のあるベゼルとの相性が良い。また、SLSのマットなボディーカラー「designoマグノアラナイトグレー」も、インヂュニアのマットブラックのセラミックス製ケースとよく調和している。

SLSのスピードメーターとタコメーターの数字は、インヂュニアの文字盤の12時と6時のアラビックインデックスと同じデザインになっている。インヂュニアでは数字が斜体になっていないことが唯一の違いである。このタイポグラフィは、2005年に復活した新生インヂュニア・シリーズの特徴として知られている。

ベージュオレンジカラーの蓄光塗料が塗布されたマットブラックのアプライドインデックスは、蓄光塗料が盛られた中央部が低く、縁が高くなっており、小さなレーシングカーのように見える。

現在、IWCで唯一、AMGの名を冠したインヂュニアのモデルには、黒一色でまとめられたものもあるが、今回のテストウォッチに選んだバリエーションでは、文字盤や蓄光塗料、そして、ストラップのアリゲーター製インレイの持つ温かい色味が、テクニカルな性格の強い時計に特別なニュアンスを与えている。まるで、コンクリート打ちっ放しの壁の前に置かれたブラウンカラーのレザーソファのようである。


SLSのインテリアも、インヂュニアと同じ方向性を有している。エアアウトレットやシフトレバーは、アルミニウムから削り出し加工されており、ジェットエンジンからインスパイアされたデザインになっている。また、インテリアにはレザーが贅沢に使用されている。