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手に乗るサイズで、伝統の精密工芸を実現

 

時計には、腕時計や懐中時計のほかに、置時計や柱時計があり、現代においても、工芸的に精緻を極めた機械式のクロックが作り続けられている。

このほど、日本に上陸したフレール・ロシャもそのひとつ。創業者は18世紀後半に活動していた時計師デヴィッド・ロシャと、19世紀まで活躍したフランソワ、フレデリック、サミュエルという3人の兄弟たち(フレールとは、フランス語で兄弟の意味)。彼らはスイス時計のメッカ、ジュウ渓谷(ヴァレ・ド・ジュー地方)に拠点を置き、スイス時計史に名を残す時計職人にして、世界的なからくり人形師だったジャケ・ドローの工房に、“シンギングバード”のムーブメントを卸していた。

“シンギングバード”は、1時間ごとの時報機能(ソヌリ)付きの置時計とからくり人形を組み合わせたもので、定時になると、からくり人形の鳥が動き出し、同時に鳥のさえずりやオルゴールの音を奏でる。フレール・ロシャは、デヴィッド・ロシャと3人の息子たちから“シンギングバード”の製造の伝統を受け継ぎ、2013年にスイスで復活したブランドなのである。

今回、日本に上陸したのは、現代的な解釈をくわえた“シンギングバード”である。

「アルシュ ノワール」はゴールドの台座に、精緻な“シンギングバード”の機構をセットする。上面はガラスのプレート、センターには装飾が施されたゴールドの蓋がセットされる。この蓋が演奏ボタンを押すと開き、ゴールドで形作られた小鳥が姿を見せる。同時に内部に仕掛けられたフイゴが動作し、美しい鳥の鳴き声か、美しいオルゴール演奏を奏でる(任意のタイミングで作動させることもできる)。これらの一連の機構の動作が鑑賞できるという点で、スペクタクルにあふれている。

「コンタンプラシオン・デュ・セリジエ・インペリアル」は、その外観の豪華さと優雅さに目を奪われる。18Kホワイトゴールドのボックスは、桜のモチーフにダイヤモンドをセットした意匠に埋め尽くされ、フェミニンに仕立てられている。演奏ボタンを押すと蓋が開いて、現れた鳥が美しい声を聞かせてくれる。

かつての“シンギングバード”は、大がかりな仕組みで、鳥かごを模したスタイルが多かった。フレール・ロシャは現代の精緻な技術で作り上げられ、コンパクトな設計になっている。どのモデルも人の手のひらに乗せられるほどのサイズである。

贅を尽くした応接間のテーブルにさりげなく置いて、上品に訪問客を驚かせることができる、そんなウィットにあふれ、文化の香りも高いラグジュアリークロックを一度は目にしたいものである。